
でやるということになると、平均1万円取らないととても合わないわけです。これはコストですから、実際に運営していくためには、1万二、三千円の入場料を取らないとやっていけないということになるわけです。ところが、現在N響は、東京でやっていますときの演奏会のA、B、Cというランクづけの一番高い方で、大体6000円から7000円ぐらいでやっています。ですから、コストを半分ぐらいに割って入場料を取っているという形になっているわけです。 逆に、今度は出演料という形で、ほかの主催者の演奏会にN響が出るとしますね。そうすると、そういうときにはN響は出演料をもらうことになるわけです。本来的にいうと、やっぱり1700万円以上、2000万円ぐらいもらわないと本当は合わないんですが、実際に今N響は、ここのところの取引はよく知りませんが、500万円ぐらいで取引されているんじゃないかと思います。それくらいの出演料でN響は演奏してくれるわけですね。そうすると、これこそ物すごくコストを割っているということになるわけです、 そうすると、この出演料だとか、今の自主公演の切符の値段というのは何が根拠で出てくるのかなということを考えてみると、私なんかもオーケストラをやっていていつもそういうことで頭を悩ませたんですが、本当のことを言うと、根拠はないんですよ。全然根拠はないんです。言ってみれば、そのときの社会の情勢からいって、音楽を聞きに来てくださるお客様が、つまりその音楽会に出費するにふさわしいような額、いわばリーズナブルな額は幾らぐらいなんだろうということを考えて、それを決めているにすぎないわけですね。そうすると、今申し上げたように、文化運動ゾーンというところで赤字が出るといって集めてきたお金というのは何に使われているかというと、もちろんその団体を運営するためのお金に使われていることは間違いないんですが、実を言うと、このお金を集めてくることによって、お客さんがリーズナブルな料金で聞けるんだということになっている。そういった作用、つまり、それがこの文化運動ゾーンの団体の公益性になっているということが言えるわけです。 全く同じようなことがホールにも言えるわけです。ホールのことについては皆さんの方がずっとよくご存じなので、私はわかりません。つまり、建てたときの土地の代金だとか建築費だとか、そういったハードのお金をどういうふうな格好で償却なさっているかということもよくわかりませんが、そういったようなものと、それから、日本の場合は貸しホールということをおやりになっているわけで、ほとんど半分以上は貸しホールというのをおやりになっているわけで、この貸しホールということも非常に重要な文化運動の1つだ
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